2018/11/23

深度合成撮影


手前から奥へ広がりのある被写体は
画面の隅々までピントのあった写真を撮るのは,中々難しいのです。

通常の撮影では,ピントが合っている範囲を広くしたい場合
レンズを絞り込んで(レンズ絞り値を大きくする)
被写界深度(ピントが合っている範囲)を広くして撮影しますが
たとえば絞りをf22まで絞り込んだとしても
手前から奥まですべてにピントが合わない場合もあるのです。

ちょっと極端な例ですが
屋内で距離50cmぐらいに置いた1/150スケールの蒸気機関車を撮る場合
NikonD850 MicroNikkor105mm 絞りf8 で撮影すると 
こんな写真が撮れます。
このレンズの被写界深度は 距離50cm,絞りf8の時で 50cmから~50cmまで
つまり50cmのところにあるものにしかピントが合わないのです。
なので,左端の正面にピントを合わせると 後ろはボケボケ 
のこんな写真になってしまうのです。

でもほしいのは前から後ろまでしっかりピントが合った こんな写真

こんな時 どうする?

かなりマニアックな話になってしまいますが それが
深度合成撮影

複数の画像から ピントの合っている部分だけを合成して,
手前から奥までピントが合ている写真を作ろう! 
というのが深度合成写真 なのです。

そして その深度合成写真で作ったのが 上の蒸気機関車の写真です。

手前にピントを合わせて 少しずつピント位置を後ろにずらした写真を撮って
それらを合成するのです。
今回撮影撮影した枚数は100枚

撮影した 1枚目の写真です。 
機関車より前のレールにピントを調整しているので正面はボケています。 

2枚目  ほんの僅かピントを後ろにずらしました。
 同じく3枚目
 4枚目
 5枚目 
連結器にピントが合ってきました。

6枚目
 7枚目
 8枚目
 9枚目
 10枚目 
やっと正面にピントが合ってきました。
一枚の写真のピントが合っている範囲 これを被写界深度 といいます。

20枚目

30枚目


40枚目
動輪にピントが来ました。

50枚目
第四動輪当たりかな

60枚目
キャブ当たりかな 

70枚目
テンダーの前台車ですね

80枚目 
テンダーの後ろ 

88枚目
テンダーもピントの範囲から外れました。
89枚目以降は機関車にはピントが合っていないので省略です。

100枚撮影した中から機関車のどこかしらにピントが合っている88枚
そのピントの合っている部分を Photoshop で合成処理して
前から奥までピントの合った一枚の写真を作るのです。

合成処理自体はPhotoshopが自分でやってくれるので 
私はコーヒーでも飲みながら待つだけ
コーヒーがビール ってこともありますが。。。

そして出来上がった写真が 最初に見ていただいた これです



この写真 一枚を作るのに 88枚の写真を合成したのです。
時間は 撮影,パソコンでの処理などを含めて 60分ぐらいかな。

楽しいでしょ!

えぇ どこが? って声も聞こえてきますが 
まあ 人には好き嫌いがあるからしょうがないね 

と 今回は 深度合成写真のおはなしでした。

2 件のコメント:

  1. 辛抱強く、深度合成写真を作成しましたね。出来栄えはさすがです。
    私のカメラにもその機能はあるのですが、必要となるシーンが無く、使ったことは無いです。
    使う機会は訪れるのかな??

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  2. ありがとございます。こちらではデータ量を縮小した画像ですが,オリジナルは感激物の細かさで表現できました。ぜひ一度,手近な物でお試しください。 写真はボケだ! と言いますので,深度合成でもメインはボケがありませんが背景はぼかしてます。 

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