荒川岳(あらかわだけ)は
南アルプス国立公園内の赤石山脈(南アルプス)中央部にある
前岳(荒川前岳) 標高3,068 m
中岳荒川中岳) 標高3,084 m
悪沢岳(別名東岳または荒川東岳)標高3,141 m
の3つの山の総称であり,荒川三山とも呼ばれる。
赤石岳(あかいしだけ)は
赤石山脈の長野県と静岡県にまたがる標高3,121 mの山である。
南アルプス国立公園内にあり、日本百名山に選定されている。
これは 南アルプスを代表する山々で
43年前の1976年7月 まだ20代の若き頃に,
椹島1123m→千枚岳2880m→荒川岳3141m→赤石岳3121m→
→赤石小屋→椹島1123m 距離28km を
一泊二日,一日目8時間 二日目13時間で踏破した記録です。
荒川岳・赤石岳 登山記
社会人2年目の夏,山登り未熟児な私が先輩に連れられて日本でも有数の南アルプス赤石岳へ登ったということは,これは画期的なことなのです。
計画しているころ,大先輩から「若いうちに南アルプスに行け」と盛んに言われた。 若いうちとは,体力が必要だからと言うことらしいが,私にはそれが不安だった。
未熟さと体力的な不安にかられながら,会社からSkさんの車に乗り,更に山奥深い椹島に着く頃には,不安が恐ろしさに変っていた。
翌早朝,雲一つない,本当に一つもない快晴。 朝7時に出発して14時に千枚小屋へ着くまで,樹林帯の尾根道をただひたすら登るのみ。
一日中歩いて登りだけで樹林帯からも抜けきれず,一つのピークも踏めないのは,やはりスケールの大きい南アだからか,小屋に着く手前では歩くのが嫌になるくらいだった。
7時間の登りっぱなし,千枚岳の手前に位置する千枚小屋は素晴らしい所にあった。
若干ガスっていたが,黄や紫のお花畑に囲まれ,テント場からは赤石岳が見える。
前日からの寝不足と初日の苦行からか,空が明るい内にシュラフに潜り込む。
翌日,周りの物音で目を覚ますと,まだ薄暗い空と一面の雲海の中で富士山の姿が見えている。 実にきれいだった。
前日の到着の時はガスがかかり周囲が良く見えなかったが,今朝は雲海の上,澄み切った朝を迎えていた。
日の出前に出発,お花畑を抜け背丈の低い樹林を抜け岩場に出ると日の出であった。 輝く太陽の登場と共に今まで暗い紺色をしていた雲海が一瞬にしてオレンジ色に染まり,富士山の紺色の肌をもオレンジ色に染める。
ふと気が付くと我々もオレンジ色に染まっていた。
小屋を出て間もないのに展望は抜群,昨日一日の登りでこれほど高いところに来ていたのかと,辛かったのも当たり前だと, やっと実感がわく。
岩がゴロゴロした中で休憩していると,雷鳥が居るではないか。 写真を撮ろうと近ずくと逃げてしまう。 仕方なしに遠くから写真におさめる。
千枚岳を通り越し,悪沢岳頂上へ。
その頂上からの眺めは実に,本当に,なんといっても素晴らしい。
ありったけの感嘆詞を総動員してもまだ足りないくらい素晴らしい。
西には澄み切った青空,中央アルプスとその裾野の飯田盆地,
北には雲がかかった北アルプスの山々,
東は昨日登ってきた千枚岳に連なる尾根,雲海に浮かぶ鳳凰三山と富士山,
南には近くには赤石岳,塩見岳,遠くにかすかに駿河湾,
360度の大パノラマが広がる。
標高差を地図で見ると500m以上ある。 500mの標高差と云えば東京では高尾山の登りに相当する。 東京では一つの山がここでは尾根道のただの鞍部なのだから,このスケールの大きさは大変なものだ。
小赤石岳を目指す頃は,もうダメ,バテました。 バテながらもなんとか赤石岳山頂に11時45分に到着。 悪沢岳の時と同様に360度の展望が広がる。
小赤石岳にて:途中で空荷で登る女性2名(山小屋のアルバイト?)が
「私たちを赤石岳に連れって!」と赤石岳まで同行
「私たちを赤石岳に連れって!」と赤石岳まで同行
赤石岳山頂にて
しかし夏山の常,雲が多くなって来たので早々に下山にかかる。
途中に再びお花畑が広がりクロユリが咲いていた。 南アルプスはそこら中にお花畑があり,バテた体にムチ打っている我々(いや!私だけかもしれない)を励ましてくれている。 自然界とは憎いものだ。 こんなでかい岩のゴロゴロした山がいくつもそびえている所にお花畑をつくるとは。
赤石岳から赤石小屋まで3時間,赤石小屋から椹島まで2時間半を下りきるが,最後は足はガクガク,頭はフラフラ,林道に出た時は地べたに座り込んで下山記念の写真を撮る。
一人で下山中の女性が赤石小屋から椹島まで同行 一緒に下山記念撮影
とうとうやった! 初めての南アを登って来たのだ。
山頂に立った時と,下山した時の気分の爽快さは最高の心地だ。 これが魔物だ。 なぜならば,登っている最中,下っている最中はなんで山登りなどするのだろう? と後悔の気持ちが繰り返し襲ってくるのだが,登頂した時,下山した時のあの爽快な気分を味わうと,「また来よう」と思うのだから。
私はまだ初心者なので,山男の本当の気持ちはまだわからないが,いつもその爽快な気分に惑わされて山へ行ってしまう。
初めて南アルプスに入山した私を引っ張って頂いたSkさん,Siさん,そして多くの助言をして下さった先輩方に感謝しながら,その晩,椹島では赤石岳登頂,無事の下山を祝って大酒を飲んだ。
追記
入社当時,独身寮の同じ4Fの住人として
年中,飲み歩いていた飲み友達として
荒川岳・赤石岳ほか,多くの山に一緒に登った山の先輩であって
一足早く人生を全うした Siさん に 献杯
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