2018/06/11

設計ミス?それとも判断ミス

昨年の暮れに発売されたMicroAceの 「HB-E300 ふるさと」の新品が
ネット通販で 希望価格の1/3以下 の5,000円で投げ売りされていた。

以前からネットでの評判は,かなり厳しい意見が多かったし
自身の過去の経験からも,MicroAce製ならそんな厳しい指摘もあり得るな
と思っていたので,それなりに迷っていたのだが 
何といっても5,000円に釣られて つい Enter 

KATOと競合したのも大きく影響しているでしょうが
希望価格15,000円は高過ぎで,2両セットでこの価格は無いですね。

どこが厳しい意見だったのかというと
最大の点は動力ユニットの高さ寸法が大きくて
窓の下端より上に2mm弱飛び出て,不細工にみえてしまっている っとことですね。

こちらが動力ユニット無 車両  まあOKですよね




ことらは 動力ユニットあり 車両
窓の下端に注目してください。

窓の下端から動力ユニットの上部が見えています。
窓の上下寸法の1/5位が動力ユニットで占められているのが解ります。

もう少しうまい処理の仕方は無かったのでしょうかね。
動力ユニットにシート背ずりを形どるとか・・・


窓の色も緑が濃すぎます。
おそらく 動力ユニットの飛び出しを見にくくする為の処置 だったのでしょうか
違和感を覚えるような濃さです。

おそらく設計のコンセプトでは,走っている模型を離れて見るのには問題ない
とされたのでしょうかね。 
運転中は確かにそうですよね。  我が鉄もそうです。 
我が鉄の製作基準は「60cm離して見て違和感がないこと」ですから。
でも,気に入った模型はやはり手に取ってじっくりと見ますよね。
それに15,000円を設定するなら 
やはり   手に取ってニヤっと    の品質でなくちゃいけません。



過去のもう一例

1960年6月1日から運転を開始したクロ151以下12連の151系4往復時の編成です。

一点目は クロの大窓の四隅Rがサロ,モロの角Rと同様に小さいRで
折角の自慢の大窓がみすぼらしい窓になってしまったのです。
クロの1m×2mの大窓は とてつもない大きな四隅Rでしたからね。

こちらは MicroAce クロ151

こちらは KATO クロ151

 あまり変わらないじゃない ですよね。 この距離 この大きさで見るならば です。
ここが 普通の方々とマニアの違うところで 
マニアは手に取って20cmの距離でじっくりの眺めるのです。

この写真はクロハ181の実物写真です。


引用 ガイドブック最盛期の国鉄車輛4 浅原信彦著 Neko Pubulisinng発行
窓の四隅に大きなRが付いているのがよくわかります。

MicroAceのクロ151 は窓の四隅のRがとても小さいです。

KATOの クロ151は 窓の四隅に MicroAceよりは大きなRがついています。

図面で確認してみましょう。

まず形式図からは,窓に大きなRが付いていますが,寸法の記入はありません。

形式図ですから,細かな寸法の記入は詳細図によることになるので当然でしょう。

ではその鋼体の詳細図です。

窓鋼体寸法横1940mm×縦995mmに対して 四隅にR200mm と記入されています。
つまり窓縦寸法の1/5の寸法で,それが上下に付くと中間の直線は3/5しかない
それくらい大きなコーナーRが付いていたのです。

そのR200の拡大図です。




引用   形式図 長距離高速電車説明書1960年5月 発行:日本国有鉄道 臨時車両設計事務所

鋼体図 長距離高速電車(こだま形)151・161・181系特急形直流電車
    福原俊一著 発行:車両史編さん会

150分の1の模型の世界では 窓寸法12.8×6.13mm R1.33mm の寸法であり
窓の縦寸法6.1mmのうち,
窓上下にR1.33mmがあって,中間の直線は3.44mmとなります。

以上から MicroAce製の窓寸法は,窓四隅のR寸法が小さすぎる 
という事が明らかになったと思います。


2点目は 
クロ151の等級表示が「1」等表示であり
他のモロ,サロの等級表示が「2」等表示であることです。

クロ151の等級表示は「1」で一等車を示す。

モロ,サロの等級表示は「2」で二等車を示す。

これらの車両の運転開始は1960年6月1日です。
その時の等級は三等級制でしたから 
展望車は「イ」で1等車, リクライニングシートの「ロ」は2等車, 
その他は「ハ」で3等車でした。
なので クロは「2」 サロ,モロも「2」であったはずです。

ややこしくしているのは 運転開始の翌月
1960年7月1日から 2等級制 に変更になったことです。
展望車の「イ」が廃止されて
「ロ」が1等車に,「ハ」が2等車に変更になったのです。

その時,実際の車両はどのように対応したのでしょう。
車輛の落成は「2」表示で落成して,6月いっぱいは「2」表記で営業し
7月1日からは鉄板に「1」表記したのをかぶせて運用したそうです。

従って クロが「1」表示 モロ,サロが「2」表示での運転はあり得なかったのです。
マイクロエースの設計者はその辺の調査が足りなかったようです。


窓の角Rの大きさといい この等級表示といい 明らかなミスです。
その明らかなミスをやってしまうのがここの体質 なのでしょうね。
だから今回のHB-E300も
設計ミスではないけれど,大きな判断ミスをしてしまった
と勝手に理解しています。

ただ個人的には
HB-E300では 15,000円ではちょっとね であって
5,000円なら 「しょうがないんじゃない」 と思っています。

トミテックの鉄道コレクションだってそうなんだし
グリーンマックスのキットに動力車組み込んだって そうなんだから。

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